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イタリアのトマト

Pomodoro (ポモドーロ:トマト) 
複数形は、「Pomodori:ポモドーリ」

Pomodorino (ポモドリーノ:プチ・トマト) 
複数形は、「Pomodorini:ポモドリーニ」


多くの人は「イタリア=真っ赤なトマト」とイメージを持っているかもしれません。

しかし、トマトがイタリアの食卓に上がってから、まだ200年ぐらいだと言われています。
そのため、地域によってはトマトをあまり使わない料理があるほどです。



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写真:サラダやパニーノに最適な、水分の少ない大型のトマト。



トマトは、南アメリカ大陸が原産の野菜で、1519年にメキシコに上陸したスペイン人によって、ヨーロッパに持ち帰ったと言われています。

なので、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)が活躍していた時代には、まだイタリアに存在していていなかった思われます。



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写真:連なった状態で売られている、ポモドリーニ。



イタリア語の「Pomodoro(ポモドーロ:トマト)」語源は、古いイタリア語の「Pomo(ポモ:りんご)」+「d'oro(ドーロ:黄金の)」からと言われています。

現在の真っ赤な姿からは、「黄金の」と言う言葉が想像がつきにくいと思いますが、おそらくヨーロッパに紹介された当時は、黄色いトマトが多かったのだと思われます。

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写真:現在でも時々イタリアのスーパーに並ぶ、「ポモドーロ」の語源になった黄色いトマト。



イタリアでは、非常に多くの種類のトマトが市場に出回っています。
その地域、季節などさまざまな品種のトマトを見ることができます。

種類によっては、2週間ほどで市場から姿を消してしまう種類もあるほどです。



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写真:サルデーニャで作られる甘みの強い、とても小さな「Pomino(ポミーノ)」と言う種類のトマト。



日本で一番有名なイタリアのトマトというと「San Marzano(サン・マルツァーノ)」種(長めの水分の少ない種類)だと思います。
名前の割には、それほどイタリアの市場に出回っていないと思います。
サン・マルツァーノ種を作っている農家も少ないはずです。



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写真:「へた」の部分が非常に取れやすい種類のため、日本では見た目からこの種類は市場に出回らないらしい。王冠と比べるとトマトの小ささがわかると思います。



小型種のトマトでは、「IGP(Indicazione geografica protetta:産地保護指定)」を受けた「Pachino(パキーノ)」種(シチーリア、シラクーザ近くのパキーノ町の原産といわれている)が有名になりました。
パキーノ種は、ドライ・トマト(pomodoro secco:ポモドーロ・セッコ)にも非常に適していて通年を通して見かけられたが、近年パキーノ種の知名度が上がり、値段が高くなってしまい、偽物も多くなってしまいました。

普通のドライ・トマトは、そのままの形をしていたり半分に切った形のものが多いが、パキーノ種のドライ・トマトは独特の開き方で乾燥させてあるので、見慣れると乾燥した状態でも品種がわかるようになります。

以前、イタリアの講習会でシチーリアから来ていたオーボエのパオロという男の子が「うちのおじいちゃんは、パキーノのトマトを作っているんだよ!」ってみんなに自慢していたけど、普通の若いイタリア人は、トマトの品種までは知らないと思うんですが。。。
パキーノ種公式ページ



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写真:サルデーニャで作られている「Dolce di Valpolicella(ドルチェ・ディ・ヴァルポィチェッラ」と言う種類のしっかりした形のプチ・トマト。



トマトは普通の野菜と同じく1年生植物だが、南イタリアの一部の地域ではトマトにとって環境が合うらしく長い年月にわたって育成し続けて、トマトの木のように育つ姿も見ることが出来る。



トマトの歴史は、非常に厳しいものだったらしい。

ヨーロッパに持ち込まれた当時、トマトは有毒植物「Belladonna(ベッラドンナ)」に似ていたため毒性があると信じられていて、多くの人は観賞用の植物として育てられていた。
イタリアで大変な食糧難に襲われたときに、「毒でも食べてしまわないと」と考える南イタリアの人々によって「トマトは食用になる」と広がっていき、現在の食卓に並ぶようになり、イタリアから次第にヨーロッパへ「トマトは野菜」という認識が広がっていった。
北アメリカでトマトが一般的な食用になったのは、トマトケチャップが出来てからといわれている。



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写真:Sartù(サルトゥー)というナーポリ(ナポリ)の比較的古い時代(1847年)のトマトを使った料理をミラノのレストランが復刻したもの。



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写真:アルベロベッロのレストランで食べた、トマトとバジーリコを使ったデザート。



トマトのことをもっと知りたい方へのお勧めの本。

「トマトが野菜になった日」橘みのり 著 : 草思社
by vagaoku | 2007-05-09 19:22 | cibo/食品

音楽と旅行と食べ歩き、イタリアに留学していたクラリネット奏者+元イタリア・スローフード協会会員、奥田英之の話


by vagaoku
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